リクチュール勉強会【木田さん発表レポ】

文責: 末摘花

 

繊維の3Rはかなり進歩したがまだ改善の余地は残っている。

 

・各自治体で不要衣服の回収をしたり、箱を設置したり、一見進んでいるように感じるが、2005年に掲げた目標に近頃やっと近づいてきている。

 

・世界の普段着にはファストファッションが溢れかえり、ボタン1個が取れただけでもゴミ袋行きの高度成長期さながら、消費は美徳のようなサイクルは止まらず、むしろ加速している部分もある。これはシステムの問題より生活者のライフスタイルに起因することが大きい。

 

・2000年、「循環経済社会元年」と位置づけ、各種制度や法整備を行い環境循環型経済システムの構築を目指した。これは、大量生産や大量消費、大量廃棄から脱却することが大きな目的。 

繊維のリサイクルを義務づける法案が決議される機会があったが、共通の指針が決められず、実効性に欠けるという理由でアパレル業界は猛反対をし、実現しなかった経緯がある。

アパレル産業は、あの時期に環境配慮の社会的要求を負担と考えチャンスと考えられなかった。

法制化が検討されたのは「超党派議員によるリサイクル問題研究会」の「アパレル分科会」で環境問題に関しては日本の政治家は与野党ともに現在より熱心であったように思う。

 

・但し、長くて複雑な ‘糸→織物→アパレル→小売’ の流通経路や、ファッションという感性の部分が絡む複雑さが、政治家や一部官僚に理解しがたかったのだろう。

 

・その後、ファストファッションの拡大は続いているが、サスティナブル消費とファッションを調和させて行こうという生活者も増加傾向にあり、アパレル産業やデパートなどの小売り業が、サスティナブル商品の展開や環境活動を行う企業が増えつつある。

ただ、残念ながらパタゴニアH&M外資系の企業の動きの方が目立つのは残念な事である。しかし、ユニクロもグローバルな企業展開が増えるにしたがって積極的な環境活動を行っている。

 

・衣服には古着というリユースの分野があり、従来からあるリサイクルショップやフリーマーケットに加えITの進歩によるネット買取や、ネット販売が大規模に行われるようになって来た。このような企業の活用は衣服に限らず若い世代では盛んに行われている。

 

~まとめ~~~~~

目標をかかげてから優に15年。

 

ネットフリマ以外にも古今東西、感度の高い街には昔からある古着屋が廃れずに若者の支持を受け続け、カリスマ的に溶け込んでいるショップもあり、「ユーズド」というジャンルで、愛用しとてもシャレて着こなしている人たちもいる一方、身周りでは仕事場の隣席女子が「早く暖かく(涼しく)ならないかな~。この服とか捨てたいんですよね~」と季節の変わり目になると毎々このようなことを呟いている。

確かにこの、ワンシーズンで処分してしまうサイクルからは、もう戻ることができない人もいるだろう。

 

『安価 = ぞんざいな扱い + すぐ捨ててもよいでしょ』 この方程式で良いのだろうか。

若いほど流行に背を向けるのが難しいことも良く理解する。しかし、今回の勉強会は衣類のサイクルについて知る場だったが、繊維消費だけではなく、人間様の利便性だけを利得とする目線や生活様式を、生物のサイクルの根底から考え直さなければ手遅れなことを、『人間様』に成り下がってはいけないことを、いろいろな切り口で声高に且つ、大声で叫ばなければならないところまで来ているのではないか。

 

代表の講義を聞きながら、「ていねいに、大切に」の気持ちがある方々と、”ゴミ袋へポイ” を減らす暮らしを、いま在る物のありがた味を知ることができる活動を、ちいさな歩幅ではあるが一歩一歩続け、広めていきたい。少しずつでも広がってほしい。と思った。 

 

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■講義後の質疑応答より、最近の動き

 

・アパレル回収は最近定着しだした。企業(小売り、メーカー)も実施をしだしている。

しかし、販促のためにやっているところもあり、回収してさらに新品を購入してもらうためのサービスとしての実施。

・真面目に回収をしている企業も存在している。

・啓蒙活動はものすごくやった。

・最近、アパレル産業やメーカーが出前講習をやりだしている。

・我々市民活動とは別に、企業も一生懸命行ってくれる。企業の売りとしている。

・綿のTシャツやジーンズをバイオ(酵母)の力でブドウ糖化し、アルコールに変えるようなことを開発している企業もある。

 しかしそれをやるために、一か所に技術が集中するのではなく、地産地消(省?)のように小さい規模のものがたくさんできるようにしなければ、定着はしない。